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涙で汚れた顔を洗いながら、また泣く。
49日目には向こうへ渡る魂を、けれど永遠に引き止めておきたい。
こんなにもいとおしいと、気づいた時には掌は空っぽになっている。
皿を数えて、数が足りないと思った、52日目の朝。
抱いても抱いてももうあたたかくならなかった体の、小ささと軽さを、まだ手が憶えている。
さようならさようなら、素敵なあなた。あなたのいない世界の空気は、こんなにも薄い。
つらいつらい。あなたのいないことが、こんなにもつらい。
あなたがいない。どこにもいない。
● 「カップラーメンの麺が伸びている」から始まる140字の描写
カップラーメンの麺が伸びている。私はそれをじっと眺めている。眺めながら泣いている。チャーシューの色合いが、この間逝ったばかりの猫そっくりで、こんな寒い冬の日、このチャーシューみたいに丸くなっていたあの子の、もう二度とあたたかくはならない体。この冷めたカップラーメンと同じ冷たさ。
● "紅茶はすっかり冷めていた。"で終わる140文字小説
買った紅茶を飲みながら、じきに来るバスを待とうと思った。
にゃーにゃー鳴く子猫。それを見上げる母猫。睨まれても怯まずに、子猫をそっと抱いて地面へ降ろす。
こちらを見ながら去って行く猫の母子の傍らを、乗るはずだったバスが走り去ってゆく。
次のバスまで20分。紅茶はすっかり冷めていた。
● 信号は赤になったで始まるSS
信号は赤になった。ここの信号は長い。足踏みが自然に回れ右して、すぐ後ろのローソンへ向く。カフェラテを買う間に信号が青になり、店を出る時にはまた赤だった。
湯気の立つコーヒーをそっとすすり、湯気越しに見える赤信号への苛立ちは消える湯気と一緒に消えた。
信号は赤になった。
手持ち無沙汰に眺める向こうで、こちら側を見る誰かと合う目。思わず浅く会釈をすると、向こうが微笑みを返して来た。
信号が青になる。微笑みに引き寄せられて、けれど足は遅れて前へ出る。
見知らぬ微笑みとすれ違う私も知らず微笑んでいた。
投稿者 43ntw2 | 返信 (0) | トラックバック (0)