楽しい悩み (7/8) |
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少しの間、脳が泥状になるように忙しくて、それがやっと終わったタイミングで新しい本が手元に来た。小説が3冊。一度も読んだことのない本だ。
長編を読み掛けていて、上下の上巻をほとんど読み終わっているところだった。下巻をきちんと読み終わってから、来たばかりの本に手を出すか、それともとりあえず上巻だけを読み終わってから、休憩のつもりで新しい本を読むか。何とも楽しい悩みだ。
さっさと下巻を読み終わってしまうのが読んでいる本への礼儀だとは思いつつも、読み終わるのに少なくとも1日は掛かるだろうし、読書だけに集中できなければ数日掛かるかもしれない。その間、新しい本に触れずに、我慢できるだろうか。
表紙を眺めて、ちらりと裏表紙や内側の折り返し部分のあらすじを読む。一体どんな話なのかと、ぎりぎりまで自分の忍耐を試すようなことをわざとする。
今面白そうだと思うと同じくらい、面白い本ならいいなと、下巻に伸びる手を引っ込めがちに、私は考えている。
1冊は、推理小説家の短編を集めたアンソロジー(最後に収録されている作品の作者が私は好きだ)、2冊目はある海外作家の短編集(同じ作家の別の短編集を何冊か持っている)、3冊目は殺人鬼の話だと言うので面白そうだと思った翻訳ものだ。
下巻にブックカバーをつけながら、私は心の中で、この3冊をどの順番で読もうかと考えている。短編集は、他の短編集が面白かったので面白いに決まっている。アンソロジーはひとりの作家目当てで読む気になったものだが、他の作家の作品も楽しみだ。殺人鬼の話は、あらすじ程度しか分からず、作者についてはまったく無知だから、一体どんな文章でどんな内容でどんな結末なのか見当もつかない。
不特定要素は多いが、1作1作は短く、そして作品の量は多い、まるでバイキングみたいなアンソロジーはちょっとならしにいいかもしれない。
短編集は内容はまったく未知だが、同じ趣旨の短編集をすでに何冊か読んでいて、それが面白かったからこそこれを読もうと思ったのだし、期待の安定度では文句なしに一番だ。
殺人鬼の話は、何もかもまったく分からない。面白いだろうと考えてはいるが、ほとんどすべてが謎に包まれている。
初めて読む本と言うのは、まるでびっくり箱だ。何が飛び出して来るか分からない。予想と期待と、そんなものが自分の中でいっぱいになって、もしかするとそれは裏切られるかもしれないし、あるいは考えていた以上の結果が生まれるかもしれない。
さて、どの本から読もうか。下巻は今3分の1を過ぎた辺りだ。読み終わるのに、後2日と言うところか。
目の前の本(読むのはもう10回目くらいだ)へ心を半分向け、残りの半分は、机の端に積まれた3冊の本へ向け、私の目は紙面の文字を追いながら、同時に脳の中で楽しい迷いが生まれ続けている。
登場人物が何か言っているが、それが一体何のことだったか、数ページ遡って読み返さなければならなかった。
この本を後2日以内に読み終わるために、今はこちらに集中しよう。
無理矢理視界を狭めて、本へ顔を近づける私の口元は、どうしようもなくゆるんでいた。
投稿者 43ntw2 | 返信 (0) | トラックバック (0)