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 たとえ小指の先ほどでもそこから動かなければ、何も起こらないままだと知っている。

 物事のうまく進まないことに焦れて、すべて放り出してしまいたくなるが、放り出して後で後悔するのが目に見えているから、何とか投げ出しはせずに、放置もすまいと必死になる。

 10字書いて3字消し、消した分を戻して5字足し、結局全部消して最初からやり直す。100字書くのに1時間も掛かって、挙句使い物にならずにまたすべて消す。

 手書きなら取り消し線と書き込みだらけで、一体何が書いてあるのか判読不能になるところだ。

 ルーズリーフに4Bくらいの芯を使っていた頃は、手も紙面も真っ黒に汚れた。その頃はまだ何とか読める字を書いていたが、今は恐らく自分ですら読めないだろう。すっかりキーボードに慣れてしまい、自分の筆跡もよく思い出せない。

 冬になるとキーボードを使う指がかじかむが、手書きだった頃もそうだったろうか。冷蔵庫よりも寒い部屋にいた頃、吐く息が白いことがあったのを覚えているが、指先の冷たさをどうしていたか覚えていない。

 そうやって現実逃避しながら、目の前の進まない作業に焦れて、今日は結局ここで手を止める。進んではいる。遅々としてだが。

 今日頼りにならなかった自分が、明日頼りになるとも思えないが、明日の自分がきっと何とかしてくれるだろうとさらに現実逃避して、今日の残りは別の作業をしよう。

 紅茶のお代わりのために、私は椅子から立ち上がる。書き掛けのそれに、まだ心を残しながら。

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